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趣旨と参加方法 <- 私の目的は訳語オタクになることではない。 ドイツ語の特殊文字について <- 文字の上のてんてんのことです 。 単語、術語の配列 <- 基本的にはアルファベットなのだが・・・ 引用先の文献 <- ぜったい訳語カルトQの達人が目的ではない。 邦訳の表記(ルビの処理) <- どうして訳語って、難しい漢字が多いんだろう。 |
成り立ち |
この辞典の原型は、管理者が西洋法制史を勉強しがてら、備忘録として書き付けてきたメモを整理したものである。管理者の専門は目下のところドイツ近・現代の公法史および国制史なので、メモもどちらかというとそちら方面に偏った。とりわけ、近世(前近代)の国制構造では個々の官職、身分、職能名を把握しないと何がなんだかぼやけて分からなくなってしまうので、つとめてメモに残すようにした。そのほか、授業や翻訳作業などの内容により、刑事司法関係や立法史関係の術語も若干入っている。引用先で言うと、学部生時代からお世話になっているヴィーアッカー/鈴木とミッタイス=リーベリッヒ/世良の翻訳を一番多く引いている。この二つの文献からだけは、原語索引全体を眺め渡して基本的な訳語を選択入力してある。
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訳語の多彩さ |
時には辞書にもどこにも訳が載ってなくて、どうすりゃいいの?と思う原語もある。しかし、たいていの場合は訳語の多彩さのほうがやっかいである。もちろん、時代や文脈によって原語の意味自体が変わってくる場合もあるが、訳す側(ここでは日本)の事情が訳語の多彩さをもたらしているケースも少なくない。たとえばある一つの原語に対して、研究分野によってそれぞれ違う訳語が定着していることがある。また、訳す人の属す時代によって、訳語も少しずつ変わってくる。その変化は単純に語学の進歩の所産とばかりは言えず、むしろ時代ごとの歴史理解の移り変わりを反映しているとも言える。こうなると、概念史や翻訳史への興味もうずいてくる。例えば、「等族」というキテレツな訳語は一体いつどこで誰が考えついたんだよ、ということを私はまだ知らないし、歴史学方法論の流行り廃りによって、翻訳語に何かしら変化があるのか知りたい気がする。こういったことをデジタル化時代の技術を使って、総合的に把握できないもんだろうか。という考えが、備忘録からOnline辞典へ繋がるそもそもの動機だった。
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Onlineの長所 |
ホームページで可能なことは、ページを訪れる人が誰でも気軽に参加できること。例えば、車椅子や乳母車を使う人のための「**駅攻略法」(エレベーターの場所とか、スロープの場所などをBBSで教えあう)ページのように、同じ関心を持つ人達が少しずつ情報を提供しあう場だって簡単にできる。負担にならない程度の、ちょっとした協力でハッピーになれる。
では、西洋法制史でもできる幸せってあるか。有志の書き込みにより辞書が絶えずバージョンアップする、西洋法制史版リナックス方式辞書というのはどうだろう。独和辞書ならいくつもあるが、西洋法制史専門の辞典は(需要も少ないし)全然ない。ヴィーアッカーやミッタイスの原語索引は充実しているとはいえ、いささか古くなっているし、カバーしていない訳語だってもちろんある。 公開で作り上げていく辞典なので、商業目的以外に限り、どんな使用も自由である。皆でよくして皆で使って幸せをつかもう。ちなみに、このようなコンセプトに適する個人キャンペーンとして、友人白田くんのプロメテウス・キャンペーンというのがあり、これに当HPも賛同している。 唯一の問題は、参加する奇特な人がいるかどうかである。いや、あと、どれだけ正確さを保てるかの問題があるな。しかし後の憂いは今にせず、とりあえず走らせてみよう。 |
参加方法 |
参加するためには、別の頁にある入力フォームを使って必要な項目に記入し、送信ボタンをクリックする。具体的な記入方法や例は、同じく入力フォームのページに記しておいた。
ちなみに、既に幾つかの訳語データをもっている人は、ひとつひとつの訳語をいちいちフォームに入力する時間も手間も惜しいであろう。そんなときは、フォームを使わず、管理者宛のメールに直接データを送っていただければ有難い。 |
辞典導入への流れ |
入力フォームによって送信されたデータは、まずe-mailとして管理人に送られる。管理人は受け取ったデータに対し、いたずらメール等の簡単なチェックをし、その後随時(一週間以内をめどに)Online辞典に掲載する。この際、当HP管理人に訳語提供者のメールアドレスが分かってしまうが、これはいたずらメール防止策でもあるのでご了承願いたい。もちろん、提供者のメールアドレスが外部に漏れるようなことは一切ない。(また、管理人がフォームからの参加者宛にデータ到着の確認通知を送ることは、原則としてない。例外として、送られたデータが不十分場合に質問メールを送ることはある。2004/02/03)
引用先の出典が明記されている投稿には、投稿者の名前を引用文献リスト末尾の参加者欄に加えさせていただく。この際、参加者個人がどの術語に関して参加しているのかは、このHP上では明らかにしない。一方、出典なしの個人による訳語提供の場合、引用文献リストの「D.個人」欄に順次入れさせていただく。こちらの場合は、辞典の訳語右のリスト番号によって訳者名を導き出すことができる。 ちなみに、個人訳とはいっても、訳語に絶対のオリジナリティを求めるものではない。どこかの文献で見たかもしれないが、今は思い出せないという程度のものでもよい。その後その訳語を用いている既刊の文献が見つかれば、当該文献をリストに追加するだけのことである。 最後に、技術面について。データの管理は手作業であり、ホンモノのリナックスみたいに立派なバージョンアップ管理体制が整っているわけではない(そりゃそうだOS造ってんじゃないんだから)。本当は、せっかく入力フォームをつくったのだから、送信されたデータをOnline辞典に自動的に組み込むシステムを作ることも考えた。実際、プログラムを造ること自体は、それほど難しくないらしい。が、何のチェックも経ずにデータが辞書に流れ込むのは危険かもしれないと考え、見合わせている。参加が多くて手作業では裁ききれなくなったら、真剣に考えてみよう。 |
ウムラウト Umlaut |
辞典を作った当初はa, o, u のウムラウトはすべてラテン語ふうにae, oe, ueと書き換えていた(例:Abwaegung考量, Noetigung 強要) が、最近はウムラウトが文字化けしないブラウザが主流になってきたようなので、ウムラウト表記をとりいれることにした。お使いのブラウザでウムラウトが文字化けしてしまう方は、管理者までご一報いただけると有り難いです(04/05/31)。 |
エスツェット sz |
最近の正書法改正ではほとんどの事例をssと書くことになったが、この辞典でも主に技術的な理由からこれに倣うことにした。(例:Beschluss決定, Prozess 訴訟) |
アクサン |
フランス語の特殊記号を用いた言葉で、ドイツで外来語として定着し、法制史に重要な言葉は採り入れた。アクサン-テギュはいくつかあるが、アクサン-グラーヴやシルコンフレクスは今のところ使っていない(04/05/31)。 |
特殊文字 |
単語は基本的にはアルファベット順に配列しているが、上のウムラウトやエスツェットなどの特殊文字については、ae, oe, ueおよび ss の表記に直した上でアルファベットの配列に載せてある。ふつう独和辞典ではウムラウトが入っていてもa, e, uの表記として配列するので、これに慣れている人は注意が必要。 |
術語の配列 |
名詞とそれを形容する言葉からなる表現は、名詞を先に表記し、カンマの後で形容語をつけた。(例:Gerechtigkeit,
materiale 実体的正義) そもそも形容される名詞が最初に置かれているような術語は、そのまま表記する。(例:Codex
Juris Bavarici Criminalis)
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出典の表示 |
個々の訳語がどのような時代や状況を想定して使われているかを把握するために、訳語に引用文献(出典)をつけた。訳語に続く英数字をクリックすると、左フレームの一番上の行に該当番号をつけた引用文献が表示される。この引用文献のフレームでは、引用元の種類によって、A.訳本、B.辞典類、 C.論文・単行本、D.個人の4つのカテゴリーを設けた。訳語右の英数字は、このカテゴリー記号と、当該カテゴリー下の整理番号に対応している。例えば、c15は「C.論文・単行本」というカテゴリー下の15番目の文献を指している。
引用文献は、Online辞典開設時にはすべて出版年代順に並べられている。が、その後追加されていく文献については、出版年には関係なく、各カテゴリーの整理番号の一番後ろに順次加えていく。最初につけられた整理番号を変更するとややこしいのだろうと思うからである。しかし、ほかにもっと分かり易く使いやすいやり方があれば、考え直すつもりである。 |
たまに
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ときどき、引用文献を表わす英数字の後ろに、さらにカッコして引用文が引いてある場合もある。これは管理者の備忘録メモ時代の名残だが、訳語や概念の把握にとって役立つこともあろうかと思い、削除しないでおいてある。
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引用なしの
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引用文献のついていない訳は、一般の独和辞典から引いてきたものが多い。たまに管理者がつけた試訳で、自分のだかどうだかよく覚えていないのでそのままにしてある場合もある。 |
ルビのふり方 |
邦訳には、ルビが振られていることがとてもよくある。それもフリガナではなく、たいていは、原語の発音をカタカナに直したものが振られている(例:封[レーン])。このような場合は、邦訳の後にカッコしてルビの部分を入れておいた。 |
なぜ付ける? |
ちなみに、考えてみれば、訳語のすぐ後に原語をそのまま表記するような、学術論文でふつうに見られる方法と、このカタカナルビとでは、効果の点では変らないのでは? だからわざわざルビを併記する必要もないのでは??、と言うこともできる。できるんだが、一つの単語のなかの一要素のみにルビを振る「Landrecht:領邦法(ラント法)」のような例を見ると、これも個々の翻訳者の選択したコンセプトなのだから、なるべく忠実につけておいたほうがよかろうと思うわけである。 |